奈良県出身の宮大工、西岡常一さん(1908~1995)は
法輪寺三重塔、薬師寺金堂・西塔の再建を棟梁として手掛け 「最後の宮大工」と言われる方です
その西岡さんの書物に触れ、日本の古い木造建築の素晴らしさに引き込まれてしまった私は行ってみました
はい、奈良の法隆寺です!
これが法隆寺の五重塔です!
こんな高層ビルを千三百年前にどうやって建てたのか
しかも、なぜ現在まで残っているのかという事をすぐに感じますよね~
西岡さんは、法隆寺を見に来るにあたって こうおっしゃっています!
「世界一古い木造建築だからって見に来るんじゃあきまへんで!
われわれの祖先である飛鳥時代の人達が建築物にどう取り組んだか、
人間の魂と自然を見事に合成させたものだと知って見にきてもらいたいんや」
魂。。この言葉にジーーンときました。まさに私の魂に刺さったのです(本当かなー(笑)
日本では五重塔はよく見ますが元々これが何なのかご存じでしたか
なんと、塔婆(とうば) なのだそうです
今でも、お墓に木製で梵字や教文の書かれた長い板を立てますよね、それなんです!
塔の真ん中に立っている芯柱の下にお釈迦様の骨があったそうです
(今も、ここにあるのだろうか・・気になる気になる)
その塔婆を長持ちさせるために三重、五重の屋根を付けたのです
これが、時代が新しくなると塔婆の役割ではなく堂や仏像が中心になっていきました
そして、圧巻なのがこの屋根!見てください
塔の四箇所の角を隅木と呼ぶそうですが、これが最上階までまっすぐに伸びていますよね!これ、本当にすごい事なんですよ!!(やや、興奮気味)1300年の年月を経て、ここに建っている事でさえ奇跡でありますのに、元の状態で今まで残っているというのは、やはりただ建てただけではないからなんです
木のそれぞれのクセや性質を見て適材適所にそれらの木をあてがっているからなのです
五重塔と金堂を囲む様に回廊がありますが、その柱の足元です!↑
これは、昔の建造物でよく見かけますが、これも先人の知恵で地震や雨風に耐えられるようになっています
平らではない石の表面に木の方を削って凹凸を合わせる方法(ひかりつけ)で手間暇かけて面を合わせて立てています
これが、日本の風土にぴったりなんですね~
現代建築の柱は大体、表面が平面のコンクリートの上に柱を立てます
すると、地震が来ると全ての柱が同時に同じ様に動いてしまう事によって、建物が崩壊する事があるようです
ここではすべて書きれないですが
本当にすばらしい技術がそこかしこに隠れています!
今回、法隆寺を訪れて実際に建物を見て、とても胸が熱くなりました
昔の日本人の息のかかった建造物が風雪に耐え、この現代にまで残 された事もそうですが
その為の技術や知恵を伝承し、実行したプロの意識を痛切に感じました
そして、この訪問は心を新たに自分のすべきことが何かをもう一度、深く考える機会を与えてくれました
日本の文化を絶やしてはいけない、こんな素晴らしい日本の文化をまず誇りに思い、伝えていこう!
そして、先人に恥じない日本人でありたいと
※西岡常一 著 :木に学べ(小学館文庫) ・木のいのち木のこころ (草思社) 引用